明るいことだけ考えよう

~関西経済研究センター会報「なかのしま」312号(1998年6月)

すべての都市銀行が赤字決算。進まない不良債権の整理。
公的資金導入にもかかわらず続く貸し渋り。18兆円の大型景気対策でも盛り上がらない消費。
政府の有効求人倍率のさらなる低下。円安下の卸売物価の下落。
経済企画庁や日銀の景気判断の悪化。
・・・昨年秋からの景気一段の冷え込みはここに極まれりの感が強い。

政府の経済政策の失敗が原因だという。
遅すぎ、少なすぎの小出し政策に信頼を裏切られ続け、政府が何をどれだけやってももう国民は踊れないのだと識者は言う。それが本当なら、何たる甘さか。

あれだけ行財政改革だ、小さな政府だと言いながら、結局、政府が上手に政策運営をしてくれなければ経済は回らない、との大合唱。前倒しの公共事業だか、恒久的減税だか知らないが、みんな何か降ってくるのを口を開けて待っている。

いつからそうなったのだろう。
どうも北拓、山一の大型倒産、東南アジアの経済危機、大蔵・日銀の腐敗などが重なった去年の秋ぐらいかららしい。
昨年暮れのボーナスは悪くなかったし、昨年度の学卒者の採用は前年より良かった。
それにもかかわらず消費マインドが悪化したのは、気の滅入るような事件ばかり発信した東京発のニュースのせいではなかろうか。

ちょっと東京に雪が降ったら日本中に雪が降っているように大騒ぎし、霞ヶ関で犯罪者が逮捕されたなら、日本中の公務員が悪者のようにいきり立つ。
元山一の従業員の苦労には同情するが、明日から日本中のサラリーマンが同じ運命に会うわけではない。

ようやくそのことを反省したのか、ニュースステーションが不況にもかかわらず元気な企業や営業マンを紹介し始めた。
讀賣テレビのある番組では、東大阪市にある9000社の中小企業の中に、全国トップの市場シェアを誇るところが110社あると報告していた。
パトライト、ルーズソックス、理髪いす、タバコのフィルターなど。
他にも元気な企業はたくさんあるはずだ。
卓上のこよみに書いてある。いやなことは考えないで、明るいことだけ考えよう。