以下は、表題の記事(『週刊新潮』1998年11月19日号)からの部分的引用です。
(…金利を上げると企業の資金需要が冷え込むといい張って、利上げ論など一顧だにしないのが、我が国の金融当局である。…)
<前略>
そこに、大阪大学の林敏彦教授は、
「ほとんどゼロに近い金利水準を保ち、公共投資を何十兆円もつぎ込んでも、景気は回復していません」
と反論する。
教授によれば、日本経済は今、ケインズのいう”流動性のわな”に陥っているという。
少々難しい言葉なので解説してもらうと、
「金利がほぼゼロにまで下がると、利子がつく資産を持っても意味がなくなり、みんな現金に近い資産を持つ。そこで、これ以上金利を緩めても、現金がふくらむだけで、血液として設備投資などには流れない状態」
たとえば、金庫がよく売れているのは、”わな”にはまった証拠だという。
そして、こう続けるのだ。
「金利が低すぎて金融政策が効かないのだから、金利を0.5%程度上げても、金融状況はそう変わらないのではないか。むしろ1200兆円の個人金融資産や、低金利で資金運用に苦しんでいる年金や保険会社に、金利の恩恵を与えたほうがいいように思います。」
<中略>
前出の林教授は、今、需要が停滞しているのは、「心理的先行き不安によるところが大きい」という、・・・
<後略>